夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
「……。
アカリがさ、働きたいんだって…。」
「……。」
呟く様にヴァロンが言った。
その何処か寂しそうな声に、
私は黙って彼を見つめた。
「……これ。
その、アカリが働きたいって言った店のパンでさ…。
そう思ったら、なんか…食いたくなくて……。」
「……。」
「…だってさ。
めちゃくちゃ可愛い笑顔で、言うんだぜ?
…あんな表情されたら、”働いてほしくない”なんて…言えねぇじゃん……。」
そう言って、ヴァロンは俯いた。
そしてハァ〜ッと溜め息を吐くと、
今度はバッと顔を上げて空を見上げる。
「あ〜あ!
俺、パンに負けた〜!……。
自分がこんな器が小さい人間とは思わなかったわ…。」
苦笑いしたヴァロンが、
天を仰いだまま顔だけ私の方を向けた。