夢の言葉と陽だまりの天使（上）【夢の言葉続編②】

【港街のパン屋/休憩室】

「アカリさんは、好きな人いないんですか？」

「！……え？」

パン屋さんで働き出して一週間。
とてもいい仲間と環境に恵まれて、私はすぐに馴染む事も出来て仕事にも慣れてきた。
そんな今日、仕事終わりに休憩室で一緒に働く女の子達からの質問。

私は一瞬、迷ってしまった。
実はヴァロンと結婚している事は、夢の配達人の決まりであまり公けにしてはいけなかった。
結婚式を夢の配達人の隠れ家の一部で密かに行ったのも、その理由の一つ。

世界的にも有名なヴァロンとの結婚は世間を騒がせる可能性が色々あった。
ヴァロンの人気や仕事にも影響が出てしまうかも知れないし…。
何よりも私への危害をヴァロンがとても心配していた。

人に夢を与える夢の配達人。
けれど世の中には、
それを良く思わない人もいる。