夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
「っ……失くし、ちゃっ…た…ッ。」
「……え?」
「ゆ、びわっ…。
っ…指輪ッ……失くし、ちゃった…ぁ…ッ。」
そう言ったアカリは、ずっと耐えていた悲しみが抑え切れなくなった様に泣き叫んで「ごめんなさい。ごめんなさい。」と、俺に謝り続けた。
涙で言葉を詰まらせながら、職場、帰り道、買い物した場所…。
探しても探しても見付からなかったと、悲しい叫びを上げた。
……やっと分かった。
俺がアカリに感じていた、違和感。
悲しそうな瞳と涙。
これが、
彼女が俺の帰宅時に家にいなかった理由だった。
……。
俺は知ってる。
あの指輪をアカリがどれだけ大切にしてくれていたか…。
仕事が忙しい上に人気を避ける為に、
明け方にしか連れて行ってやれなかったお花見。
それなのに、
本当にアカリは嬉しそうにしてくれた。