プルシアンブルー“俺が守る”
「確かに最低な奴だが、窃盗っていうのは万引きか?」


「ううん、置き引き。日本酒もそれで手に入れたみたい。でもそのショッピングモールには売っていないのよ。ただ、販売されている場所は限られる種類だったから、今防犯カメラを解析中よ。」



岐微浜の怒りの矛先が違うところへ進みそうだったので、克治は口を挟み方向を修正した。



「矛桶さんの勘、当たったな。」


「嬉しそうに言わないでくれる?」



他人事だと思って、と左隈は嫌そうに喝宥を見やる。



「お疲れ様です。どうしたんですか?」


「お疲れ様です。被害者が被疑者だったのでちょっと機嫌が悪いんです…。ガサ入れどうでした?」



ムスッとした表情で資料を整理する岐微浜を、これも世の中だと思いながら左隈は爽築へと説明する。



「ブツは出てきませんでしたが、カラクリは分かりました。櫪幇類(レキホウ ルイ)という市役所福祉課の人間が浮上しまして。」



関連受給者達の生活保護の申請を許可したのは、全て櫪幇類が担当案件だった。



「櫪幇類は箪鮑顎と幼馴染みでした。審査出来る立場を利用しただけでなく、薬も横流しして私腹を肥やしていたようです。」
< 13 / 66 >

この作品をシェア

pagetop