プルシアンブルー“俺が守る”
「分かった。ご苦労さん。」


「それとですね」



「まだあるのか…」



身勝手極まりない大量殺人に頭が痛くなりかけていたのだが、言いにくそうな左隈に更に追い討ちをかけられた気分になる。


課長という立場上、聞かない訳にはいかないが。



「報告だけなのですが、虻棋笏煉(アブキ シャクレン)という漁師が、アカエイの毒針に刺され死亡した現場が、涎彷樽實の死亡現場と近くて。」



窒息死だったのだが、検死官によると絞殺や溺死の痕跡が無く刺された痕も見付かった為、毒により神経が麻痺し呼吸困難に陥ったのだという。


その証拠に、唇と手足の先が紫に変色、いわゆるチアノーゼを起こし目の結膜に溢血点も見られた。



「関連は無かったので特に問題は無いんですけど、向こうの所轄に色々聞き回ったので、課長のところにもし…」



「分かった…、上手く言っておく。」



反省の色が見え隠れする左隈と岐微浜に、超坊は仕方がないと頷いた。



余談だが、なぜプロでありながら虻棋笏煉がアカエイに気付かなかったか。



それは密漁をしていたからに他ならない。


夜中の為暗く、刺した種類が分からず放置したからだ。
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