プルシアンブルー“俺が守る”
「失礼しました。」



爽築と超坊は刑事部長室から出てきた。



「すまんな、庇いきれずに。」


「いえ、査問会も懲戒処分もなくただの異動で済みました。課長が部長に仰って頂いたお陰です。」



ただの異動は正しくいえば左遷である。



弟とはいえ、爽築本人が犯罪を犯した訳ではないと超坊は強く言ったのだが。


部長曰くの警察の権威というのを分かっていたので、懲戒解雇も免れないと思っていた爽築にとっては寛大な処分といえるかもしれない。



「弁護士に正当な求刑をと言ったらしいな。」


「いくら犯した罪に、ゼロや時間を掛けても無かったことにはなりませんから。ちゃんと償わせます、姉として。」



弁護士は譲琉の言動から精神鑑定を持ち出したのだが、過去のこともあり罪は償うべきだと進言した。



「そうか。また捜査で会うこともあるだろう。その時はよろしく頼むよ。」


「はい。短い間でしたが、お世話になりました。」



一礼して去る爽築の背に、結構良いチームだったのかもしれなかったなと超坊は思う。



「柄にもなかったな。」



少し抜けている方が部下は育つ、持論は楽をする為だ。と言い訳をした。
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