プルシアンブルー“俺が守る”
「それでいい。喝宥はそれでいいの。」



冷ややかな克治も巻き込みヒーローごっこをしていた喝宥を。


名前にヒロが入っているから俺は英雄だって、キラキラした顔で悪役を倒していた喝宥を。



カッコいいと思ったから警察官を目指した。


喝宥のことも馬鹿に出来ないくらい、単純な理由だと爽築は頭の端で思う。



「……別れた理由は分かった。納得もした。けどさ、警察学校で俺と会った時、なんで同級生だって言わなかったんだよ。思い出さなかった俺も俺だけどさ。」



凄く誉められているようで、認められているようで、くすぐったい気持ちになった喝宥は、話題を変えるついでに気になっていたことを聞いた。



「そうよ、その通り。思い出すとは思えなかったから。覚えていたら告白なんてする前に気付いてそっちから言っているでしょ。」



覚えていなくて驚きはしなかったが、告白された時はさすがに驚いた。


好きだったのに話掛けることも出来ず、ましてや告白なんて出来ず、クラスメイトでの認識すら危うかったのだから。



「それにまさか、あんな別れ方をした後に異動で再会して、しかも同じ班になるなんて思ってもみなかったけどね。」
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