TUBASA ~つばさ~
光さんは私の腰に手を回すと、


「こっち」



黒いレースの掛かった、テーブルの前まで来ると、


「さあ」


椅子を引いてくれた。



凛子の椅子は正宗さんが引いてくれていた。


正宗さんの顔がしかめっ面してて可笑しかった。



私の正面には光さん、凛子の前には正宗さんがそれぞれ座る。



テーブルの上に置かれた燭台の炎がチラチラと揺れていた。


お手伝いさんたちが、食事を運ぶ。

美味しそうな料理がゲーブルに並ぶ。


「ワインを出してくれないか?」


お手伝いさんの一人が、


「かしこまりました」

と答える。


「光だめだろ」


正宗さんがたしなめる。


「いいじゃないか少しくらい」



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