TUBASA ~つばさ~
静かな時間が流れる。
他愛のない会話。
こんなハロウィーンもいいかも。
去年は友達と、ばか騒ぎしたけど。
しっとりとしたハロウィーン。
きっと光さんの趣味なんだろうな。
食事が済み、お手伝いさんが食器をかたづけ、飲み物が置かれる。
この香り、こないだの紅茶とはまた違う。
光さんのハロウィーンブレンドかな?
「さてと、凛子ちゃんは正宗に任せて、僕たちは...」
光さんは目の前の紅茶を一口飲むと、
私の隣に来て、「こっちにおいで」と、手をつかむ。
今の私に拒む理由はない。
ドラキュラに魅入られた姫君みたい。
そんな空想をさせる。
部屋の隅のソファーに座る。
「食事は美味しかった?」
「はい、とても」
「よかった」