TUBASA ~つばさ~

光さんはサイドボードからトランプを手に取る。


「これ、ロウソクの形ですね?」


「ハロウィーンらしいでしょ」



光さん、どこまでも徹底してる。



「さてと、いささかロマンに欠けるがババ抜きでもする?」


考え込むと、


「そうだ、占いをしよう」


白くて細い指で光さんはカードをシャッフルする。



その影がテーブルに映る。


映画で見た魔術師が、悪だくみをしている光景みたいで、
不気味でもあり、色っぽくもあった。


カードをテーブルに手際よく並べる。


「何占いですか?」


凛子が興味深々でたずねる。


「恋占いだよ」


静かに光さんが答える。


私たちは黙って光さんの並べるカードを見つめる。


何度がカードを動かして、光さんの手が止まった。


「...........」


一瞬、光さんの表情が歪んだ気がした。



「結果は?」


凛子の問いかけに、


「.....ルナと僕は将来結ばれる」


「マジですか?」


凛子は嬉しそうだ。


人の気も知らないで。


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