TUBASA ~つばさ~
白けた空気と沈黙。
空にはどんよりした雲が垂れこめている。
さっきまで晴れてたのに、まるで私の気持ちを象徴しているようだ。
「あんたムカつくのよ!」
麗華が口火を切った。
「たいして可愛くもないのに、斗馬の次は光さん?!」
完全に逆恨みじゃん。
頭を抱えたくなった。
「斗馬のことずっと好きだった。なのに斗馬はあんたを選んだっ」
「それで、わたしに腹いせってわけ?」
「わたしを選んでくれると思ってた。いったい斗馬にどんな手を使って彼の気を惹いたのかしらね」
麗華の嫌味は聞き飽きてる。
「さあね」
わかるわけないじゃん。
私だって驚いたんだから。
「斗馬は後悔してるんじゃない?あんたとつき合って」
この女殺してやりたい。
「それはわたしじゃなくて斗馬に訊いたら。筋違いだし」
「あーら、そうだったわね。斗馬の彼女は今はわたしだったわぁ」