TUBASA ~つばさ~


複雑な感情が私を駆け抜ける。



「ルナ、俺......」


ゴクリ。

私はつばを飲み込む。


「俺.....、ルナには悪かったと思ってるんだ」


麗華の言葉を思い出す。


『あたしち結ばれたの』



めまいがして来た。


「今更、何言ってるの」


私は両手でおでこを押さえる。



「ごめん......」

斗馬は唇を噛む。


「麗華とは.....」




「言わないで!!」


斗馬は口をつぐむ。



「もうそれ以上何も言わないで、お願いだから...」




「.....泉岳寺先輩とつきあってるんだろ、幸せか?」



私はクルリと斗馬に背を向けると、その場を逃げ出した。



かばんを乱暴につかむと、走って図書館を飛び出す。




< 156 / 179 >

この作品をシェア

pagetop