TUBASA ~つばさ~

「はぁ、はぁ」


遠くへ、できるだけ遠くへ。


そう思って走った。


涙が勝手に出てくる。


私、まだ斗馬のこと好きみたい。


涙で前が良く見えない。






......ドン!!




「キャっ!」



廊下に倒れ込む。



誰かとぶつかった!



涙をぬぐいながら、顔をあげる。



「大丈夫か?」


正宗さんが立っていた。




光さんと違って手を差し出してはくれないんだね。


ゆっくり立ち上がり、スカートについた埃をはらう。





「ごめんなさい、私前をよく見てなくて」


「別に」


やっぱり不愛想。


光さんとは対照的。

< 157 / 179 >

この作品をシェア

pagetop