TUBASA ~つばさ~
本棚の陰に隠れて分からなかったけど、確かにもう一人いた。


「こいつは、正宗(まさむね)」


正宗と呼ばれた人は軽くお辞儀をしてきた。


私も返す。


ちょっと古風な感じがする端正な顔立ち。

名前も古臭いからあってるかも。なんて思う。


「それもういいの?」


私が胸の前で抱えている本に、主が視線を向けている。


「あ.....はい。ありがとうございました」



「僕が返しておくよ」


手を差し出してくる。


「じゃあすみません」

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