TUBASA ~つばさ~
玄関に行くと、正宗さんが立っていた。

「時々、正宗に泊まりに来てもらってるんだ」


私と正宗さんはどちらからともなく会釈をした。


「光.......」


正宗さんは何か言いたそうだったけど、私にわかるわけもない。


「お邪魔しました」


「正宗、駅まで彼女を送ってくれないか」


「解った」


そう言うと、正宗さんは無表情で背をむけると、玄関を開けて先に出ていてしまった。


「愛想のないヤツでごめんね」


「いいえ」


「また、ゆっくり話をしよう」


私はそれには答えず、光さんの家をあとにした。

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