TUBASA ~つばさ~
バコンっ!!
「飛島、ボーっとしてんな」
「痛った」
背後から教科書で頭を思いっきり叩かれた。
思わず頭を抱える。
クラスの視線が一斉に集まる。
笑声があがる。
このクソ教師!!
「いやだぁ、ルナったら。誰のこと考えてたのかしらぁ」
長くカールした髪に指をからませ、
麗華がひときわ目立つように高い声で言う。
麗華の取り巻きたちも一緒になってからかってくる。
「まじ、うざいんだけど」
私も黙っていなかった。
麗華だけは絶対許せなかった。
「授業に集中できないほどの心配事があるんじゃないかって、心配してあげたのにぃ」
「あいにく、そんな心配には及ばないわ」
「だって、最近.....」
「やめろよ」
低く、はっきりした声で斗馬が制す。
静まりかえった教室に、
「ほら、授業に戻るぞ」
事態収拾能力に欠けた教師の情けない声が虚しく響く。
私は無言で立ち上がると、ドアへ向かう。
「おい、飛島どこへ行く?!」
無能な教師に答えたくもなかった。
無視してドアに手をかけて教室を出る。
「おい!飛島!」
先生の声は閉めた扉に遮られた。