辛 恋

心···side

久しぶりに大翔さんに会ってから
10日ほどたった時
良さんから連絡を貰った。

「心ちゃん、お店に来てくれないかな?」
「はい、わかりました。
では、今日の帰りに伺います。」
「ごめんな、急に。」
と、言われたから
「大丈夫ですよ。」
と、言って仕事帰りに寄った。

すると、良さんから
手紙を貰った。

うん?と、言うと
「大翔から、預かった。」
と、言われて
「読んで」と。

あけて読むと

佳奈さんと離婚が成立した事。
佳奈さんに財産分与をしないために
会社を手離した事。
いちから、やり直す事が
書いてあった。

そして、最後に
『心をいち文無しの俺に付き合わせる
事は出来ない。
心には、いつも笑っていて欲しいから
だから、俺の事は忘れて幸せに
なって欲しい。』
と、書いてあった。

なぜ?どうして?
一人で決めてしまうの?
私は・・大翔さんのなんだったの?

泣き崩れる私に、良さんは
「何度も心ちゃんに話すように
言ったんだ。
だけど、これ以上
自分の事に巻き込みたくないと
聞かなくて、自分の会社も
従業員込みで、引き受けてくれる
会社をさがしたり
佳奈さんとの離婚のやりとり
全部終わってから
母親のゆきさんの入っている施設に
十年ぶんの支払いをして
日本を発ったんだ。」
と、言った。

私は、大翔さんのおかあさまの
入る場所を良さんに聞いて
会いに行ってみようと思った。
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