ありふれた日常の特別なソレ
プロローグ
「ねえユキちゃん。どうしておーじさまはひとりしかえらべないの?」
「それはね、おうじさまがたくさんいたら¨しっと¨しちゃうからだよ。」
「しっと?」
「そう。しっと。ふみだってすきなひとにはじぶんだけをみてほしいでしょ?」
「ふみはすきなひとどーしがなかよくしてるとうれしいよ?」
「おまえもコイしたらわかるぜ!ひめもおうじもあいしたひとりだけをあいしぬくからしあわせなモノガタリになるんだよ!」
「なっちゃんコイしてるの!?」
「へへっ。ゾウぐみのまゆせんせいはきっとおれのひめだぜ!」
「だからってまいにちおしりさわるなんてアプローチにしてはひどすぎだよ。」
「そーしょくだんしのユキはだまってろ!おれのチョーゼツテクニックでせんせいをメロメロにしてやんだよ!」
当時五歳のわたしは思った。
いつか出会うわたしの王子様は、
きっとユキちゃんみたいになんでもできて、
なっちゃんみたいに毎日楽しませてくれる人だろうと。
「えへへぇ。あうのたのしみだなぁ…。」
卒園間近の保育園。
大好きな二人と並んで雪の上に寝転がるわたしは、いつか出会う王子様を夢見てそう呟いたのだった。