ありふれた日常の特別なソレ

１年生～春～

入学式

王子様の存在を探してはや十年。


私、海老名ふみは浦田第一高等学校の新入生になっていた。


ちなみに現在彼氏ナシ。
高校ではバンバン彼氏作って夢見る王子様に出会う予定！


だけど今はそんなふざけたことを言ってる場合じゃない。


「ふみちゃん。私たちクラス離れちゃった…。うぅ…。」


「信ちゃん泣かないで！隣のクラスだし、いつでも会えるよ！」


中学からの親友の浜津信子ちゃん(あだ名は信ちゃん)が隣ですすり泣いている今！
私に信ちゃんを落ち着かせる方法を絞り出す以外に頭を使えない！


原因はさっきの会話からお察しの通り、クラス決めだ。


一年間の学校生活を左右するクラス決めは、残念なことに親友の信ちゃんと分かれてしまった。


「ふみちゃんと一緒じゃないと…やってける自信ないよぉ…。」



目をうるうるさせて、信ちゃんは私を見てくる。
あああ！かわいい顔でそんなかわいいことをしないで！
艶やかな長い黒髪に、白い透き通った肌、大きな黒い瞳。
綺麗な日本人女性の見本とは信ちゃんのことを言う。


そんな信ちゃんに残念がられて私的には少し嬉しかったりもするんだけど。



実は信ちゃんより私の方がやばいんだよね！




だって仲良い子の名前が一つもないんだもん！！