あと一欠片のピース
そうだ、確かに宮崎は王子だ。
いくら影王子と言われていても、王子であることに変わりはなく、地味に注目をあびていて一般市民とは違う「雲の上のひと」であることは誰もが知っている。
しかも、宮崎がいつもつるんでいるやつがキラッキラしていて光王子と言われているが故に、自動的に宮崎はより雲の上のひとということになるのだ。
わかってもらえただろうか。
そして、わたしは茜の言う通り、普通の一般市民である。
特別かわいい訳でも、勉強ができる訳でもないだろう普通の女子高生。
ただ、名前が特徴的なだけ。
多分、それだけ。
「えっと、座り込んでたら、なんか宮崎から話しかけられた」
「なんて?」
「どうしたの、って」
「…今すぐ戻れ。宮崎を捕まえてこい」
「は?」
「いいから!」
「えええ……」
動かないわたしはまた無理やり茜に引っ張られながら、宮崎と話した場所まで戻る。
「チッ、逃したか」
だけど、そこにいたはずの彼はいない。
てか、舌打ちしないでよ茜。
「うーん。こうなりゃ、しゃーない。今宵、作戦会議しよう」
「作戦会議?」
「ほら、サボるんでしょ」
茜が上履きを脱いで、下駄箱からローファーを取り出す。