あと一欠片のピース
ポンと放られたローファーが地面に転がる。
わたしも同じく下駄箱の戸を開ける。
「あ」
下駄箱の中にあるものを見て、一瞬動きが止まった。
もう既にローファーに履き替えていてそこにあるのが上履きであることに気づくよりも先に、気がついたものはーー
「……お腹痛いんじゃないっての」
真新しい、カイロだった。
「なにニヤニヤしてんの、キモいよ」
「いやだって、これでニヤニヤするなってのは無理だよ」
「あーあ、速攻で毒されてやんの。これもこれでなんかつまんねーな」
そう言いつつ、いつの間にローファーを履き終えていた茜はわたしの下駄箱を閉めて言った。
「作戦会議」
「あ、はいはい」
未だに緩む頬を抑えながら、わたしはカイロを大切にスクバの中に入れた。
▽
なんとか学校から抜け出して、わたしと茜は近くの公園でブランコをこいでいた。
「今日だけで不思議なことありすぎ。まだ午前中だよ? 今日はじまったばっかなのに変だよ」
ブランコの上に立ちぎゅん、と膝を曲げて茜がブランコを揺らす。
「変だよね。まずあのパズル何なの?」
「うちに聞かれてもわかりっこないよ」