あと一欠片のピース




視線が重なって、何故かちょっぴり息がつまる。


なんで詰まってんの、意味不明。




「そんなの、知るわけないでしょ」



「今宵が俺のこと忘れちゃうからだよ」



「え」


「俺は今宵のこと忘れられなくて、ずっと目で追ってて、なのにお前は俺のこと自体すっかり忘れててさ、そりゃあ他のことで紛らわそうとするじゃん。変態にもなるよ」



少し危なっかしい含みの言い方も合わせた彼の言葉に、全てが、繋がる。


やっぱり、そうなんだ。


散りばめられていた記憶のピースが、ぴったりと全て完全にはまる。


真尋が脳内を駆け巡る中で、あたたかい光を見つけた。


それは、わたしが好きで好きで仕方なかったひと。


だけど、真尋の幸せのために諦めたひと。


それでも、諦めきれなかったひと。




「……蒼馬、くん」


「やっと気づいた」




起き上がったわたしに同じく体を起こした彼が、……宮崎蒼馬がわたしを見つめる。




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