あと一欠片のピース
変にロマンチストというか、なんというか。
馬鹿だなぁ、バレバレだよ。
でもそんな馬鹿の言うことを聞いてあげようではないか。
だってほら、わたし優しいから。うん、優しいからねっ。
封筒を大切に鞄にしまう。
HRで配られる藁半紙の業務連絡がぐしゃぐしゃに入っていた鞄のサイドポケットは、1週間前から真っ白の封筒を入れる専用のポケットのようになっている。
基本的にあまりまとまっていない鞄だが、このポケットだけはまとまっているという現象が起こっている。
たかが1週間、されど1週間ってやつね。
「こーよーいっ」
「茜、おは……お?」
「お?」
ふふ、と笑いながらわたしを真似る茜。
その横には、茜の鞄を持たされている千の姿。
「おっと、茜ちゃん。これはまさか?」
「あ、多分そのまさかは違う」
「うん?」
「まだ付き合ってないから」
ねっ、と千に確認をとる茜。
あーまあな、まだな、と頷く千。
えっ、なんだそれなんだそれ!!
まさかのじゃないけどまさかのぽくない? え? なに??
「ちょっとちょっとちょっと茜! 詳しく聞きたい!」
「えへへ」
でれでれとにやける茜。
それにつられてこっちまでにやける。
「で?」
「で、って?」
「茜さん、デレてないで早く話してください」
「あ、はい」