あと一欠片のピース




ここまでデレているようじゃ、言うことは見当がつくけれど。


だけど、ちゃんと聞きたいからね。


茜の声に耳を澄ましていれば、茜の体が隠れて、千がわたしの目の前に現れた。




「茜とお付き合いを前提に友達以上恋人未満をやることになりました!」




ちょっとだけ、恥ずかしそうな千。

あれ、こんな千は見たことないよ?


昨日の告白の時とはまた違った千。

そっか、もう前に進んでたんだね。




「嬉しい!」


「今宵ならそう言うと思った。ありがとな」


「うちも思ってたよー、ありがと今宵!」


「うん!」




嬉しい。


大好きな友達に大切な人ができることって、とても嬉しい。



実は昨日、茜はわたしを迎えに来てくれることはなく、メールで『東海道線に呼び出されたから行ってくるね。迎えに行けないけど大丈夫だよね』と連絡が来たのだ。


蒼馬くんが隣で「大丈夫に決まってんじゃん」と言ったことでちょっと笑ったのは置いといて。


千が言っていた、千のことを見てくれていた人って、茜のことだったんだね。、


千は茜の気持ちに気付いていたんだ。


もしかしたら、1番気がついてなかったのはわたしなのかもしれない。



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