あと一欠片のピース
まあいっか。
茜からしたら念願の、だもんね。
しょうがないなあ、親友の幸せを壊すほどわたしは嫌なやつではないからなぁ。
教室の前でたむろっていたけれど、その必要がなくなったので教室に入る。
らぶらぶなお二人さんはもう知らん、勝手にしてくれ。
教室に入り、自分の席に着いて少しすると周りからの目線が自分に集まっているかのような気がした。
……もしや、昨日の蒼馬くんとのことを誰かに見られていた?
え、ちょっとそれはどうなんだろう。
いやわたしはまあバレてもいいよ、蒼馬くんファンにいじめられる可能性あるけど。
蒼馬くんはバレること、嫌がるかな。
うーん、嫌がりそうだなあ。
「聞こえてますか、今宵ちゃん」
「えっ、うわっ!?」
考え事をしていたせいで、いつの間にか自分の机の前側にしゃがみ込んでいた人影に気がつかなかった。
ああ、なるほど。
この人をみんな見てたのか。
「おはようございます、青木先輩」
「はい、おはよー」
にこにこと柔らかい笑みで挨拶を返してくれる先輩。
昨日の先輩は幻だったのか、と疑いたくなるほどのいつも通りの先輩。