あと一欠片のピース
「は?」
「うちが知る限りの情報だけどね」
あ、わたしも同じ情報持ってたわ。
なんなの宮崎、意味わかんない。
優しくないのに「どうしたの?」って聞いてきたの?
カイロ置いていってくれたのに?
十分すぎるくらい優しいじゃん。
あれは、なんだったの?
「てか今宵、あれ初対面だった?」
「え、うん」
「まじ? その割にすごいいいテンポで会話してたよね」
「そうかな」
「うん、知り合いだったのかと思ったもん」
知り合いではない。
初対面で、初めて話したはずだ。
「しかも宮崎、今宵の名前知ってたよね。しかもフルネーム!」
「あーね、びっくりした」
それなのに、なんでわたしの名前を知っていたのだろう。
あ、あそこで名前を呼ばれたということは、顔も知っていたということか。
なんでわたしの顔と名前、知られてたんだろう。
千がわたしの話でもしたのかな。
そうだとしたら、どうせわたしの愚痴でも言ったんだろう。
やなやつだ、これだからイケメンは。
なにが光王子だ、東海道線のくせに。
チッ、と小さく舌打ちをして、みんな大好きな人気者である光王子を頭の中で罵倒する。