あと一欠片のピース





「ねえ、今宵」




呼ばれて茜のブランコが揺れていないことに気がついた。


いつの間に、こぐのをやめたんだろう。



「なに?」



珍しく妙に真面目っぽい声を出すから、わたしもブランコをこぐのをやめてやった。


わたしのブランコの揺れる幅が狭まり、止まった時、茜がわたしの目を見て口を開いた。




「……あの封筒、もしかしたら宮崎からなんじゃないの?」


「は?」




なんてことをいうやつだ。


変なことを言い出す茜の頭を思わず叩いた。


だって、ありえない。




「おいこら今宵、痛いんだけど」


「痛くしたもん」


「はー? なんで叩かれなきゃなんないのー」


「茜が下手なこと言うからでしょ」


「なんで下手なことなんだっ!」



ぶーぶー言う茜。


だって、おかしいじゃん。



「あの人、昇降口から来たんだよ?」


「あ、そうなの?」


「そう。だから、遅刻してきたってこと」


「へえー」


「てことは、わたしより先に学校に来てないんだから封筒を入れることは不可能なの!」



そう言えば、また納得してない顔をして茜は腕を組んだ。



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