あと一欠片のピース
▽
「え、嘘じゃん」
「なにが嘘じゃん?」
「……」
フリーズするわたしの目線を追って、茜がわたしの下駄箱を覗く。
「わーお、熱心ですねぇ」
「何が、熱心ですねぇ、だ」
「だって熱心じゃん。2日続けてなんて」
靴箱には、白い封筒が2つ。
1つは昨日わたしが置いていったもの。
もう1つは、初めましてのもの。
確かに熱心ですねぇ、と言いたくなるのもわかる。
茜がぼそりと「あ、やべえ」と呟いた。
「何がやばいの?」
「これが恋の部類だったら熱烈すぎて万々歳だけど、もしもいじめの予兆とかだったらとか考えちゃったんだけど、それってくそ怖いやつじゃん? やばくね?」
何言ってんだこいつは。
昨日はあんなにも恋愛まがいのことにしようとしたくせに。
「まーあー、うちは宮崎からってのに賭けてるけどね」
「じゃあ茜、宮崎じゃなかったら野口さん寄越しなね」
「えーやだ。うちの大切な英世はあげらんない。 ワンコインでいこうよ」
「しゃーないな、じゃあ500円ね」
「え、なんでよ100円でしょ!」
「500円もワンコインですー」
今日も仲良く軽く喧嘩腰の会話を楽しむわたしたち。