あと一欠片のピース
ってそんなことどうでもいいんだよ。
今はそれよりも、この白い封筒。
開けてみると、また昨日と同じく柔かな香りが鼻をかすめた。
「……まじか」
中に入っていたのは、パズルのピース。
もちろん、一欠片。
どうやら昨日茜が言っていた、パズルが出来上がるまで一欠片ずつ届くという予想は当たっているらしい。
そして、裏返せばそこには相変わらずの斜め上がりの綺麗な文字。
〝貴女の〟
あなたの?
わたしの、なに?
……って、わたしって決まった訳ではないけれど。
と言っても、2日連続でわたしの下駄箱に入れるということと、昨日のパズルの手紙にわたしの名前が上がっていたことで、ほぼほぼ、わたし宛だと思うけど。
「わたしの、わたしの、………なんだろ?」
封筒を鞄にしまい、ぶつぶつと呟きながら、未だに喧嘩をする茜と千を置いたまま教室に向かって歩き始める。
さすがに今日はサボる気はない。
「あとで昨日のと今日のピースを合わせてみなきゃ」
さすがに今日は封筒を置いてくることもなかった。
昨日茜が言った通り、置いておくのは相手に失礼だと思ったのだ。
〝貴女の〟のピースが入った封筒をわたしの靴箱に入れる際、もしかしたら相手は辛かったかもしれない。