あと一欠片のピース
「なに、なんか言いたいことでも?」
「んー? 別に?」
「どうせ東海道線と付き合っちゃえば、とか思ってんでしょ」
「ご名答」
「ほらね、やっぱり」
ふて腐れたように言う彼女は、多分自分の中で千がどういうポジションにいるかわかっているはずだ。
気づいてないふりをしていることなんて、知っている。
ふて腐れているのが照れ隠しだということも。
「って、そんなこと今はいいんだよ! それよりパズルさんからの手紙! またあったんでしょ?」
「あーうん」
「次もまたメッセージあった?」
「うん、あった」
教室に入り、自分の席まで行く。
ちょうど斜め前の席にいる茜は、鞄だけ置いてわたしのところまで来て両拳を胸の前でぶんぶん振った。
「今宵、早く見して見して!」
「はいはい」
さっき大切にしまった真っ白の封筒を鞄から取り出す。
茜はそこからパズルを取り出して、裏返してその字を瞳に映した。
「……なんて読むのコレ」
「馬鹿」
「うん、うち思ってたより自分が馬鹿なことに気づいて今ちょびっとショック受けてる」
地味に本気で悲しそうにする茜が哀れすぎてちょっとこっちも悲しくなる。