あと一欠片のピース




軽く茜の背中を撫でながら、ピースの裏にある言葉を読み上げる。



「〝貴女(あなた)〟の、だよ」


「へぇ、これ、あなたって読むんだ」


「知識増えて良かったね」


「うん。うち、ちょっと頭良くなったわ」



ちょっとね、ほんのちょっとね、極々わずかのちょっとね。


そうツッコミながら、昨日届いていたピースを取り出して、今日のピースと合わせる。


上の方で合わせる前振りのように穴の形を見てみると、どこからどう見ても繋がりそう。


カチャリ、当てはめてみるとぴったりと穴がくっつき、はまった。



「あ、繋がった」


「ふおお、パズルでメッセージ送るとか、面倒くさいけどパズルさんオシャレさんかよ! 凄いこと考える人もいるもんだねー」



なんとなく繋がる気がしていたからそんなに驚かなかったわたし。


感心したように言ってパズルを凝視した茜は「あ」と何かに気づいたらしい。



「うち今更気づいたんだけど、1個目のピースって端っこのピースだったんだね」


「あー角ってことね」


「そうそう」



1個目のピースは、穴が空いていなくて真直線の部分が4辺のうち2辺を占めている。


わたしもそんなに気にしてなかったけど、そりゃあ角っこなわけだよね。



そんで、今日のピースは1辺が真っ直ぐだから、明日のピースも真っ直ぐの辺が少なくとも1つはあるということか。


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