あと一欠片のピース





ちょっと、残念、みたいな。


とか口に出せばまた茜に「今宵なんかに」って言われそう。


まあ実際そんなに自分に魅力があるとは思っていないし、言われても問題はないんだけど。



「あ」



パズルのピースを封筒に入れようとしたところで、気がついた。


白色のピースの裏に文字が綴られていたのだ。


最早白色なんだから裏とも表ともつかないけれど、きっと裏であるそこにある言葉はーー



〝今宵〟



「なんだよ!!」


「なにが?」


「呼ぶだけかっての!」


「は?」



わたしの様子から何か察知したのか、茜がピースを覗き込む。


そして、「ぶはっ」と大袈裟なほどに吹き出した。




「やべーこれなんかウケる!」


「なんかってなにが!?」


「変すぎだな、と思ってさ!」



確かに、かなり変だ。


なにが〝今宵〟だ。


それに続く言葉はなかったのか。


それだけなのか。


その2文字だけのために封筒とパズルを使ったのか。


わたし宛なのだとわかってしまったことと、変なことに巻き込まれている気がして嫌な気分なのと、とりあえず一体なんなんだ。



とにかく、肩透かしを食らっている気分になるのはなぜだ。




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