あと一欠片のピース



だって日々セカイは動いているから。


ということは、もしかしたらあったはずのわたしの「好き」の気持ちも動いてしまったのだろうか。


わからない。



「宮崎と話したら、わかんのかな」


「なに?」


「え」



背後からした声に、思わず驚きを示す声が自分の口から零れる。



「俺がなに?」


「え、なんでいるの」



昨日あれだけ言葉を紡ぐのが大変だったのが嘘のようにさらりと声が出た。


椅子に座るわたしを見下ろす宮崎がそこにいて、わたしは目を丸くした。


慌てることはなかった。


ほら、これは恋じゃなかったんじゃない?


茜がそろそろと席を外そうかと腰を上げたのを、腕を引っ張って座り直させた。


待って、そういう気遣い要らない。


だってわたしにとって、宮崎は多分「好きな人」ではない。



「用があって」


「誰に?」



誰に、って千に、だろうけど。


そう思うなら、なんで聞いたのだろう。


やっぱり馬鹿なのかな、わたし。




「あんたに」


「……」


「……」


「あんたって、誰」


「あんたはあんたっしょ」



いや、あんたはあんたっしょ、って。





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