あと一欠片のピース

「何でもいいだろ、早く答えてよ」



イライラするわけでもなく、至って噂通りのポーカーフェイスで宮崎はわたしに答えを促した。



「千は幼なじみ。それ以上でも以下でもない。多分ずっと関わりを持っていくだろう人」


「…ずっと、ね。どういう関係で？」


「幼なじみに決まってんでしょ」


「実は苦手だったりする？」


「…時と場合による」


「ふーん」



自分から尋ねたくせに、無表情ながらも少しつまらさそうにして見える宮崎は、本当に何をしに来たのかわからない。


その顔はやっぱりすごく綺麗で、だからなのかどことなく儚げで、やっぱりムカついた。


だって、こんなにも綺麗な人見たことないもの。



「宮崎」


「ん？」


「なにしにきたの？」


「さあね」



本当に、わけがわからない。


宮崎はなにがしたいの？




「ねえ、あんた」


「なに？」




あんたって呼ぶのやめてほしい、そう思いながら完全にこちらを向いた彼と、綺麗な瞳と、視線が絡む。


ちょっと、ほんのちょっと、ドキッとした。



「……なんでもない」


「…そう」



なんとなく、わかってきた。


宮崎という人間が気まぐれで言葉を発していること。


わたしをからかって楽しんでいるということ。