あと一欠片のピース







なんでこうなったのか、わたしには到底わからない。



「今宵、醤油とって」



千の声が聞こえてはいるものの、動揺を隠せないわたしは醤油を見つけられずにいた。



「目の前にあるよ、醤油」


「あ、…ありがと」



ねえ、なんで、こうなったの。



「へえ、今宵と蒼馬って結構仲良いんだ? 初めて知った」



なんで今のやりとりでそう感じたの?


なんでわたしの横に宮崎がいるの?


なんで、こうなった?



「千ちゃんも茜ちゃんも、蒼馬くんも、遠慮せずにたくさん食べてね」



それはお母さんの優しさのせいだ。


我が家に夕飯を食べにくると言っていた千は、我が家の前で学校から一緒に帰ってきた宮崎と話をしていたらしい。


そこへ買い物帰りのお母さんが通って、宮崎に「ご飯食べていかない?」と言い出したらしい。


そのせいで、こうして茜と千と宮崎と同じ食卓にいるわけだ。


いや、わかったけどわかんないよ。


なんでこんなにトントン拍子に食事を共にすることが決まってしまったんだ。


そもそも、なんだこのメンツは。



「ちょっと、わたし、えっと、食事中なのに本当ごめん。すぐ戻るから」



状況についていけないわたしは、頭を冷やそうと席を立った。



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