あと一欠片のピース
▽
「ねえ今宵、昨日さ東海道線、今宵のことすごい心配してたよ」
「は? 何それ、まじキモい」
バンッと下駄箱を閉めるわたしの手には、白い封筒。
二回も見たら別に今日も封筒があっても、もう驚かない。
「あと、宮崎蒼馬が今宵のこと」
「何?」
「あ、いや……何でもない」
「は?」
「や、本当何でもない!」
何かを隠しているような茜の様子に、ちょっと疑問が浮かび上がる。
でも、慌ててそれを消そうとしているから、また聞いてくれるのかもしれないと思った。
じゃあ、いっか。
「つーか聞いてよ茜! 思うんだけど、何が影王子だっつの、あいつすごい喋るじゃん! 意味わかんないこと言うし意地悪だしあんなん王子じゃない!」
「えーそう?」
「そうでしょ!!」
「ふーん、でも顔は王子だよ?」
「宮崎みたいに顔が良ければ一般人でも王子になれる世の中なんて、わたしは一生理解できない!」
食い気味にそう言えば、背後から「俺がなに?」と声が聞こえた。
あーこれデジャブってやつじゃん。
どうせ振り返ったら無表情であいつが立っているんだ。