あと一欠片のピース




……告白されるのではないことがわかったからか?


なんてね。


別にそんなのどうでもいい。


ただ少しだけ漫画やドラマのように屋上に呼び出されて告白されて、って想像してみただけ。


ちょっとだけ浸ってみた、それだけ。



「ほんっとこんな手紙はじめましてだわ! 面白すぎる!」



未だに笑っている茜がわたしの背中をバシンと叩く。



「どんまい、今宵!」


「痛え。…なにが?」



別に、どんまいも何もないじゃない。


ただ謎にわたしの名前が書いてあっただけじゃない。



「だって初カレができるチャンスだったかもじゃん?」


「あーそういうこと」


「ん。チャンスだったっしょ?」


「いや、別に彼氏とか恋とかそんなん求めてないから」


「嘘つけ」



茜がにやりと笑ったと思えば、流れるような動作でわたしのブレザーのポケットからスマホを取り出す。



「ちょっと、なに!」


「知ってんだからね」



わたしのスマホが収まる手帳型ケースを開いて、1番目立たずひっそりとある収納ポケットに手を入れる。


そこからひらりと出てきたのは、



「影王子のこと、好きなんでしょ」



我が高で影王子と称される男子生徒の写真だった。




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