あと一欠片のピース
「とにかく、意味的に今宵がダブっても別にそんなに変ではない!」
「そ、うかなぁ…」
「そうだって!」
「そうかー…」
特に古典が得意というわけではなく、むしろあまり好きではないせいで茜の主張は完全には理解できないけれど、茜がそう言うのならそうらしい。
「よって、この手紙はやっぱお前宛だ!」
犯人はお前だ! というようなニュアンスでズバーンと茜から指を指された。
自分宛であることが一応発覚したわけだが、別にこれといった感情は湧いてこない。
「はいっ、藤野今宵選手にお伺いします。今のお気持ちは?」
「いえ何も」
「ジーザス!!」
「え、それ古くね?」
大袈裟に仰け反った茜が腰を抑える。
馬鹿か、おばあさんみたいになってるぞ。
「今宵ったら、ほんっとに何もないの?」
「あえて言うなら、今までパズルさんへの扱い酷かったから、ごめんなさい、かな」
「そうな、酷かったよな」
「だってパズルさん怪しかったじゃん」
「まあ、そうだね」
頷きあったわたしたちは、自然とわたしの手元に未だある白い封筒に目線を写した。
わたしは今日の分の封筒を机に置いて、今までの分を並べた。
「なんかドキドキする」
「千といる時より?」
「あ、いやーそんなにじゃないけど」
「まじか。千強いなー」