あと一欠片のピース




「で、今宵。中身は?」


「あ、うん。安定のパズルです」



真っ白の封筒の中から、パズルを取り出す。


そこに書いてある斜め上がりの綺麗な字を見たわたしたちは首をかしげた。



〝参ります〟



「参ります? は?」


「どっか行く系? “ただいま参りました!” 的な」


「とも取れるけど、降参する系の “参った” でもいけるかも」


「うん、いけるな」


「茜、どっちの意味?」


「うち頭弱いんだってば。わかんねーわ。何か降参させるようなことしたわけ?」


「んーそんな記憶はないけど」



パズルや封筒をひっくり返してみるが、安定してなにもない。


うん、ほんっとにわからない。


そして、文脈的に気づいてもらえるだろうけど、今までのパズルと文が離れてまう。



「〝今宵、貴女の〟からちょっと空けて〝参ります〟ってことになるね」


「そだね、真ん中がわかんない。次は真ん中が来るってことか」


「だろうね。てか、なんで突然順番じゃなくなったんだろ」


「それな。なんでだろ」



パズルさんに関してまた謎が深まってしまった。


何がしたいのか、何を伝えたいのか、わからない。


2つくっついている〝今宵、貴女の〟とひとりぼっちの〝参ります〟を手に、色々と動かしてみる。



「パズル、どっかはまる?」


「うん、…うん」



カチャリ、と〝貴方の〟のパズルの下に〝参ります〟のパズルがはまった。




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