あと一欠片のピース
むうう、と顔をしかめると、茜が口をすぼめてからわざとらしく喋りだした。
「あ、やべ。本題を忘れてた。今宵がガキってことはどうだっていいんだったや」
「ちょっとーなんかそれもそれでわたしのことどうでもいいみたいで嫌なんですけど」
「ほら今宵。今日の分のパズル」
「……茜め。スルースキル上げたな」
「へんっ、パズル寄越しな」
「やだよーだ。これはわたしが貰ったんですー」
「何をぅ!」
側からわたしたちを見ている人には、2人してあっかんべーしあっていたと思えばにらめっこと言う名の変顔大会を始めたせいで、わたしたちのことが正真正銘の阿保だとバレてしまっていることだろう。
まあそんなことはいいのだ。
阿保なのかもうちょっと前からで、変わらないのだから。
「今宵!」
やっとパズルさんからの封筒を開けようとしたところで、名前が呼ばれた。
「え、あれ、先輩」
「ちょっといいかな?」
「はい。茜、ちょっと待ってて」
席を立とうと机に手を置き腰をあげると、それよりも先に立ち上がった茜がわたしの方に来てわたしの肩を下に押した。
「何してんの」
「今宵は座ってて」
「は?」
「いいから!」
怖い顔でそう言われちゃ立ち上がるわけにはいかなくなって、大人しく頷いて座り直した。