あと一欠片のピース
示さなかったのではなく、示せてなかったのかもしれない。
だって、真尋とやらの話を聞くことがなんだか怖いと感じたから。
4限が終わった直後のお昼休みが始まった途端、わたしは椅子の上でうずくまった。
「今宵」
「午後なんて永遠と来なければいいのに」
「こーよーいー」
「真尋って一体なんだっての」
ふてくされたように愚痴をこぼすわたしは、側から見ればどう見えるだろう。
「藤野今宵!」
「……何か用かな、茜ちゃん」
「そろそろウザい」
ウザい、だって。
そうかぁ、側から見れば今のわたしウザいのか。
そりゃ愚痴を言いまくる女はウザいだろうよ。
「ウザいのなんてわかってるし。いいじゃん、愚痴くらい言わせてよ。茜の意地悪。くそったれ」
「おいおーい、不貞腐れないでよ」
「無理。なんかもう無理。頭がいっぱいいっぱいだし無理」
椅子の上に体育座りをして頭を膝の中に入れ込むわたし。
茜がくすっと小さく笑って、わたしの頭をふわりと触った。
「今宵、パズルさんの今日の分見ようよ」
「うー……」
茜の手の暖かさに、涙腺が緩んだ。
「ほら、お弁当と封筒持って屋上いこ」
「うん、うんっ」
涙を振り飛ばそうと、頭をブンブン振って頷けば「ヘドバンかよー」と茜に笑われた。
だって、いい友人を持ったなあと思ったんだよ。
だから、泣くくらい許してよ。