あと一欠片のピース








「……12時半、か」



カーテンのかかった薄暗い部屋で、ソファに座ってまだパジャマ姿のわたしは時計をぼーっと見つめていた。


今日は金曜日である。


ゆえに、学校がある日である。



「サボっちゃったなあ…」



なんでこんなにも非行してしまっているのだろうか。


中学の時は毎日きちんと学校に通う優等生キャラだったのに、どこで間違えたのだろうか。


わかった、高校がつまらないからだな。


考えたくないことを考えなくて良いように、どうでもいいことで頭を埋める。


なのに、考えたくないことに辿り着く。


本当はわかってる。



高校には、真尋がいないからだ。



「真尋、か」



昨日の夜に見た夢を思い出しわたしはため息をついた。


はっきりとしたことはぼやけていてわからなかったけれど、光で眩しいその場でわたしは目を細めながら、大声で真尋だろうその背中に向かってその名を呼んでいた。


とても、大切な存在だった、そんな気がする。


なんでそんな気がする存在のことを忘れてしまっているのだろう。



「最近のわたしは『なんでなんで星人』だなぁ」



何でもかんでも、なんで、と思う。




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