あと一欠片のピース
「朝からカレーはえぐいって」
お母さんからの置き紙に書いてある『あっためて食べてね♡』の字に思わず苦笑。
お母さんの仕事、今日は早番だったんだっけね。
お母さんはわたしの朝ごはんを用意して、朝から仕事に行ってるというのに、わたしはソファでぼーっと1日の半分を過ごすとは。
出来損ないの娘にも程がある。
自分がダメすぎて軽く自己嫌悪に陥る。
「えっと、金曜は5限までだっけ」
時刻は12時半を超えている。
5限に間に合うかさえ怪しいのに、というかもう5限開始には確実に間に合わないのに、それでも学校に行かなきゃならない気になった。
だって、わかっているんだ。
このままでも何もいいことはないこと。
「ちゃんとしなきゃ」
お母さんの影響力は偉大である。
カレーを電子レンジでチンして温める。
最近のインスタントカレーは発展しているなぁ、なんて思いながら、わたしは昨日帰ってきてからずっと切っていた携帯の電源をつけた。
電源が入った途端、携帯がぶるぶる震える。
「あ」
着信履歴があります、の表示をタップすると『広瀬茜』と『海堂千』の名前がたんまり。
「あちゃー…」
どうやらわたしは、2人を相当心配させたらしい。
悪いことしたかも。
勝手に行動せずに一言いれておけばよかったかもしれない。