あと一欠片のピース



そうは思うものの、あの時はそんな余裕なかったのだけれど。


チン、と電子レンジがわたしを呼ぶ。


わたしはカレーを取り出してタッパーに入るごはんを電子レンジに突っ込んだ。


チンと音の鳴った電子レンジから取り出したごはんを皿に移し替えてカレーをかける。



「なんだかんだ言ってもさ、ここでカレーを出してくれるお母さんは凄いや」



わたしに何かあったとわかっていたのだろう。


確かに昨日は帰ってきたからの記憶が定かでない。


朝っぽらからではあるものの、わたしの好物を朝ごはんにしてくれたことはお母さんの気遣いなのだろう。


椅子に腰掛けて、ガツガツとカレーを口に放り込む。


スタミナが必要だもんね。


なんて言ったって、これから社長出勤するというのだから。


さっさとカレーを食べ終え、家中をバタバタ走りながら準備を終えた。



「いざ出陣!」



最近、茜が言ってたような気がする言葉を使って、気持ちを引き締める。


頑張ろう、わたし。


ちゃんと真尋の件を受け入れるんだ。


怖いけれど、それでも動かなきゃ始まらないし、進まないから。


家に鍵をかけて、わたしはいつも徒歩で向かう道のりを自転車に乗って駆け抜けた。




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