あと一欠片のピース
どくん、と胸が大きく音を立ててざわめいた。
自分が口に出すのとは違う、響きがわたしに実感を与えて、胸を締め付けた。
「君が真尋を壊さなければ、真尋は今も……。真尋を壊した君なんて生きていていいわけがない」
「……っ」
「君が、真尋でなく君が、いなくなればよかったんだ…!」
先輩の悲痛な声が耳にストレートに届いてこだまする。
「………く、うっ、痛い…っ」
「今宵!」
気がつけば、苦しさから胸を押さえてしゃがみこんでいた。
握りしめた胸元のワイシャツがくしゃりと皺を作る。
体がゆらゆらして保てないでいると、千がわたしの肩を抱いて支えてくれた。
そして、そのまま先輩を睨みつける。
「青木先輩、落ち着いてください。感情に流されずに話すと約束しましたよね」
「……」
「先輩!! 今宵のことしっかり見て!」
「……あ、…今宵、ちゃん」
先輩の瞳がわたしを捉えると、その目が見開かれる。
そして、先輩はその場でへたり込んだ。
「今宵ちゃん、…今宵、ごめん。ごめんね、ごめん」
泣き出したらしい先輩は鼻をすすりながらわたしに「ごめん」を連呼する。