あと一欠片のピース




なんだかよくわからなかった。


一連の出来事が、他人事のように流れていく。


その中で今わかることは「わたしが真尋を壊した」そのこと。


そして、どうやらわたしは先輩に恨まれているらしいこと。


……真尋は、ここにはもういないこと。




「わたし、…何をしたの」



先輩が体を震わせて泣く姿を見ていたら、自分だけ真尋の記憶がないことがなんだか申し訳なく、いたたまれなく思った。


その気持ちが伝わったのか、少し躊躇しながらも千は話し始めた。




「……今宵には中学の時、好きな人がいた」


「ああ、…そうだっけ」


「…うん。そんで、真尋もまた同じ人を好きになった」


「……そうだっけ、ね」



そう言われればそのような気もする。


それで、わたしどうしたんだっけ。


好きな人を譲ったんだっけ。


それとも譲ってもらったんだっけ。



「今宵は好きな人がいると真尋に言ったけど、真尋はその時に同じ人が好きだと言えなかった」



後者の方だっけ、譲ってもらったんだっけ。



「真尋は、その後もそのことを今宵に打ち明けられなかった」


「……」


「だけど、今宵は人伝てに真尋の好きな人を知った。そして、」


「あ」



思い出した。




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