あと一欠片のピース
全部、思い出した。
散りばめられていた記憶のピースがかちゃかちゃと動き、全てぴったりとはまる。
その途端、頭が割れるように痛んで、視点が定まらなくなった。
ここは、どこ。
真尋は、どこ…?
真尋は、真尋は………。
あ。
記憶が昨日のことのようによみがえり、空が青いことに恐怖を覚えて、わたしは叫びだした。
「うああああああああ嫌だ、真尋、真尋のこと、ごめんなさい真尋…っ!!」
「今宵!」
「東海道線、保健室に!」
「わかってる!」
千と茜の声が聞こえて、力が抜けていく体を誰かにぐっと抱きとめられた感覚がした。
真尋、ごめん、ごめんなさい。
叫ぶ声はもう枯れていて、それでもわたしは叫んだ。
叫びまくって意識が飛びそうになった時『今宵は謝らなくていいんだよ』と頭に声が響いた、気がした。
真尋の、優しい声だった。
全てを包み込むかのような、優しい声だった。
わたしには、真尋にそう言ってもらえる資格はないのに。
それなのに。
『今宵、お休み』
真尋の透明の手が、わたしの瞼をゆっくりと下ろさせた。
わたしはそれに抗うことができなくて、そこでプツリと切るように意識を手放した。