あと一欠片のピース







真尋は、女の子らしい子だった。


ゆるい天然パーマだった彼女のふわふわの短い髪は、子犬のようでとても可愛かった。


そんな彼女は、みんなから愛される人気者だった。


当然だ。


わたしとは違って、時におしとやかで時に元気っ子で、いつもニコニコでキラキラしていたのだから。


彼女は言わばわたしの太陽だった。


わたしはそんな真尋が大好きだった。




いつだったか、いつも通り真尋と遊んでいる時、恋話をする流れになった。


これが真尋が壊れていく始まりの時だった。



『真尋って、好きな人いるの?』


『なんでー?』


『隣のクラスの男子が聞いてほしいって』


『ふーん。んーと、真尋はまだ好きな人とかわかんないかな』


『そっかー』



この時の真尋は特に嘘をついているだとか、好きな人を隠しているとか、そんな感じではなかった。


本当にわからないといった感じで、多分まだ彼のことを恋愛的な意味で好きではなかったのだと思う。



『今宵は?』


『へ?』


『好きな人、いる?』


『え、あーいや?』


『あ、今の嘘だなぁ?』



ふふ、と笑う真尋は、何もかも見透かしているようだった。



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