運命なんてありえない(完結)
エレベーター横の階段で1つ階を登るとそこはワンフロア食堂になっていて、エレベーターホールの正面に食堂の入口がある。
食堂は1回の利用が500円だが、高級ホテルのレストラン並のビュッフェが用意されているのでかなりお得だと思う。利用できるのは基本的にここの社員のみだが、社員の人と同伴であれば外部の人も利用はできる。
私も高梨社長と数回利用したことがある。
入口のカウンターで500円か回数券を渡し中に入るという流れだが、会社の休憩時間に合わせ12時オープンなので今はまだ入口のカウンターに人はいない。
両開きのガラス扉を開けて中に入り、食堂のスタッフの方に挨拶をして撮影にとりかかる。
手を付けられる前の料理から撮っていく。
あと15分もすれば社員の方達が押し寄せるので手早く済ませていく。
「うわぁー美味しそう!」
隣でレフ板を持っている佳香がオープンに向け並んでいる料理を見て感嘆の声をあげる。
「美味しいわよ」
シャッターを押しながら、佳香に返すときっと予想通りの返事がくる
「えっ!?杏さん食べたことあるんですか!?ずるいー」
ほらね
「ふふ」
思わず笑みがこぼれる
「よしっ料理と設備はオッケー。じゃあ、モデルさん達に実際に料理取って食べてもらいますね」
入口付近に待機していたモデルさん達を振り返ると、笑顔で「オッケー」と声を揃えて返事をくれた
「撮影してそのまま休憩にするので、いつもの感じで取ってってください」
私の言葉に頷き、2人はビュッフェの先頭に置いてあるトレーを手にとり、その上にお皿を置く。
モデルという役目にも慣れてきたのか2人ともリラックスした表情で談笑しながらトレーの上のお皿に料理をとっていく
料理を取る手元や表情、2人で笑いながら料理を盛っていく画を収めていく
モデル2人が料理を取り終わったところで、窓側の席に座るよう指示を出す。
2人が向かいあって座り、目が合い微笑み合ったカットを収めて終了
「はいオッケーです」
画像の確認をして、モデルの2人に向かって左手の人差し指と親指で丸を作って笑顔と共に向ける
モデルの役目は以上になるので、2人はホッとしたように力を抜く