運命なんてありえない(完結)
高梨様と吉野さんの後に続きミーティングルームへ入ると、中は大学の講義室のような机と椅子に選手が座っていて前にホワイトボードとプロジェクターがあった
「本日、撮影をしてくれる日下さんとアシスタントの田辺さんだ。段取りは任せてあるので指示に従うように」
「日下と田辺です、よろしくお願い致します。」
高梨様から紹介していただいたので、バトンを受け取り挨拶をし、撮影の流れを説明する
「まずこれからグランドに出ていただいて、集合写真とお1人ずつの写真を撮ります」
視界の端に入ってくる酒井くんを極力意識しないように…と思ってる時点で意識してるけど
「その後、練習中の写真を撮らせていただくので、いつものように練習してください。」
「集合写真とお1人ずつのお写真はニッコリ笑顔でお願いしまーす!ではグランドへ移動をお願いします」
佳香が補足と移動の指示をしてくれた。できるアシスタントだ
佳香の指示に選手の方々がゾロゾロと移動を始めたのでその後に私達も続いていく
グランドへ出る扉の前に大きな下駄箱があり、そこでみんな靴を脱ぎスパイクを手に持ってグランドへ出てからそれを履く
これは儀式とかではなく、グランドが人工芝なので外の土を持ち込まない様にしているのだとか
人工芝に土が入ると雑草が生えてきてしまうんだとか…
私達も持参した店舗で使っているクッ〇リーとかいう黒のつっかけに履き替え……ないっ!!
私のクッ〇リーがない!
「あ…」
思い出した!食堂で食べてる時に椅子の下に置いといたんだ
コテコテ化粧女に連行された時に置いたままだったの忘れてた…
「あれ?杏さんクッ〇リー忘れてきたんですか?」
私の異変に気付いた佳香が声を掛けてきた
「うん、食堂の椅子の下に…」
「あぁ、連行されましたもんね」
哀れみの目で私を見る佳香
「あっそうだ!こうちゃんに取ってきてもらいましょう」
そう言ってポケットからスマホを取り出し電話をかける
高梨様と吉野さんは2階の視察室から見学すると言ってミーティングルームを出て隣の視察室に入っていった